息子よ、今日これ見ときなさい

米国育ちの10代息子に、日本人ハハが送る、日米バイリンガルリソース

オーケストラのオーディション

プロのオーケストラ奏者のオーディションの仕組みも、君たちの学生オーケストラとおんなじだね。審査の厳しさは、お子様の比じゃないだろうけどね。

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オーケストラのオーディションには、一般の入社試験のような一般常識等の筆記試験はない。あったら、恐らく受験者全滅である。要求されるのは演奏家としての腕、それのみだ。清々しいほどわかりやすい。

どんな曲を演奏するかというと、どこのオーケストラでも大体要求される曲は決まっていて、例えばバイオリンだと、美しい音や音楽のスタイルが試されるモーツァルトのバイオリン協奏曲と、高度なテクニックと豊かな感性を試されるロマン派以降のバイオリン協奏曲、そして職人芸が試されるオーケストラスタディ(注)であることが多い。

協奏曲は、大学受験やコンクールの為に必ず準備する必要のあるものなので、割と皆、弾き慣れている。

しかし、オーケストラスタディは、オーケストラに入団するために特殊に勉強するものなので、コツを掴むまでなかなか厄介である。しかも1曲1曲がとても短い。数十秒で終わってしまう曲もある。そしてこれらの曲すべてが、「オーケストラの中で、何となくグチャーっと弾くのならなんとかなるけど、1人で弾くとか冗談でしょ」と泣きたくなってしまうような曲達である。短い分、ミスをしたら立ち直る間もなく終わってしまうのも痛い。オーケストラスタディをどれだけ仕上げるか、これがオーディションを勝ち抜く大きなキーポイントになる。

 

※オーケストラスタディ ・・実際のオーケストラの曲の、自分のパート部分を1人で演奏すること。どの曲の、どの部分を演奏するかは、試験の1か月ほど前に、オーケストラから指定されるまでわからない。大体10曲から20曲指定されて、実際に試験で弾かされるのはその中のほんの数曲である。最終的にどの曲を弾くことになるかわからないため、全部きちんと弾けるようにしておかなければならない。バイオリンの場合だとリヒャルト・シュトラウス交響詩ドン・ファン」の冒頭部分や、モーツァルト交響曲39番の4楽章冒頭が指定されることが多い。ヨーロッパのオーケストラだと、受験するオーケストラがシンフォニーオーケストラか、オペラかで要求される曲が変わってくる。オペラだと、一番有名なバイオリンのオーケストラスタディはワーグナーの楽劇「ジークフリート」。